NPO法人設立

【1】NPO法人-非営利の意味

NPO法は、公益的な活動を行う団体が比較的簡単な手続で法人格を取得できるように
民法34条の公益法人の特別法という位置付けで成立しています。
株式会社・有限会社が営利法人であるのに対し、NPO法人は非営利法人です。
「非営利」なので⇒儲けてはならない、という意味で捉えられがちですが、必ずしもそうではありません。
組織が維持・継続していく為には当然、運営コストや経費がかかります。その資金を得る為の事業収益も認められるのです。それでは営利企業と変わらないのではないかということですが、以下の点で営利企業とはことなります。
・剰余金を構成員(社員)に配当してはならない。⇒余ったお金を分配するのではなく、次年度の活動資金として繰り越すことになります。
では報酬を受けることができるかについてですが、結論として役員、事務局スタッフなど、全ての者が報酬(給与)を受け取ることができます。
法律上「報酬を受ける役員の数は、役員総数の3分の1以下で無ければならない」となっていますが、これ以外の役員でもスタッフとして報酬(給与)を受け取ることができます。

【2】 NPO法人のメリット

@権利(法律行為)の主体となることができます。
法人になることにより、責任の所在と法律上の位置づけが明確になります。
イ、各種契約を法人名義で行うことができます。
ロ、物品の購入や銀行口座を法人名義で開くことができます。
ハ、不動産を法人名義で登記できます。
A 社会的信用が期待できます。
法に定められた法人運営や情報公開を行うことによって、組織の基盤がしっかりして、社会的信用が得やすくなります。
イ、各種助成金・補助金などが得やすくなります。
ロ、公共団体からの委託事業の受託に有利です。

【3】NPO法人の義務

@情報公開の義務
定款や事業報告書など一定の書類を事務所や所轄庁において情報を公開しなければなりません。
A税法上の義務
「人格のない社団等」並みに課税されます。
法人税(国税)、法人住民税(地方税)、法人税(地方税)の課税対象になり主に収益事業に課せられることになります。物品販売業など33業種が収益事業とみなされます。実際は減免制度などがあり、大半の法人が納税していないのが現状です。
B法に定められた運営
NPO法にそって総会(年1回)や理事会を開催し、役員変更・定款変更などには所轄庁に届出が必要です。また会計は「会計の原則」に基づいて行い、事業報告書を提出しなければなりません。
C残余財産の帰属
解散した場合の残余財産は、法で定められた法人又は行政機関に帰属し、個々人には分配されません。

【4】 NPO法人の活動分野

NPO法人の活動種類は以下の20分野と定められています。

1 保険、医療又は福祉の増進を図る活動
2 社会教育の推進を図る活動
3 まちづくりの推進を図る活動
4 観光の振興を図る活動
5 農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動
6 学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
7 環境の保全を図る活動
8 災害救援活動
9 地域安全活動
10 人権の擁護又は平和の推進を図る活動
11 国際協力の活動
12 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
13 子どもの健全育成を図る活動
14 情報化社会の発展を図る活動
15 科学技術の振興を図る活動
16 経済活動の活性化を図る活動
17 職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
18 消費者の保護を図る活動
19 前各号に掲げる活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動
20 前各号に掲げる活動に準ずる活動として都道府県又は指定都市の条例で定める活動

【5】 NPO法人設立のメリットは何?

(1)法人名で登記できるとか、銀行口座が開けるなどがメリットとして手引きやマニュアル本に挙げられています。しかし、これは何もNPO法人に限ったことではなく、法人になる組織すべてに当てはまることです。
 要するに個人商店を会社組織にするのと同じ話です。団体なのに財産の管理が個人名義でしかできない、という実務上の煩わしさがなくなるというのはたしかに便利なことです。

 (2)NPO法人に特有の利点は社会的な信用が得られるということです。もちろん、信頼や信用は時間をかけて地道に築いていくものですが、NPO法人の場合は設立時においてもこのメリットをある程度有しています。

 行政府の認証を得た法人と任意団体、営利会社とでは印象はやはり違ったものになります。とくに会社など営利法人と異なってNPO法人は儲けのた めにやっているのではない、公の利益のために活動しているというイメージが強いため、地元の新聞やタウン紙に取り上げられることもよくありますね。

 ただ、最近はNPO法人を隠れ蓑にして違法行為を行う団体が登場しはじめており、NPO法人のイメージも多少傷ついているのが現状です。予想されたことですが、残念なことです。

【6】 NPO法人設立にはいくらかかる?

これはNPO法人のメリットでもあるのですが、設立するのに費用がかからないという点は大きな特長です。 株式会社などとはそもそもの事業の目的が違いますから単純な比較はできないのですが、費用という点ではNPO法人は大変経済的なのです。下に株式会社との比較を表にしましたので比べて見てください。

  株式会社 NPO法人
資金 1円以上 0円でも可
定款印紙代 4万円 不要(0円)
定款認証手数料 5万円 不要(0円)
定款謄本証明料 1500円位 不要(0円)
登録免許税 15万円 不要(0円)
費用合計 最低24万円 0円

いかがでしょうか。会社のばあいは自分で作っても最低24万円の費用がかかりますが、NPO法人のばあいは0円なのです。もちろん、NPO法人の設立を代行業者などに依頼すると、手続の一切を頼んだ場合、20万から30万円ほどかかります。

 なお、参考までに、簡便な手続きで設立できるようになった一般社団法人と一般社団法人の設立費用についてもまとめておきました(表中の定款謄本証明料は6枚で計算してあります)。

  一般社団法人 一般財団法人
資金 0円〜 3,000,000円〜
定款印紙代 40,000円 40,000円
定款認証手数料 50,000円 50,000円
定款謄本証明料 1,500円 1,500円
登録免許税 60,000円 60,000円
費用合計 151,500円〜 3,151,500円〜

【7】 NPO法人設立の流れ

1.申請に必要な書類11種類を用意して所轄庁の担当窓口に提出します。

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2.受け取った役所は提出した書類のうち定款など5種類を誰でも見られるようにオープンにします。これを「縦覧」といいます。情報公開のひとつですね。公の機 関である役所の情報公開は十分に進んでいないのに、民間の非営利団体の情報公開はしっかりと求める、というのは本末顛倒という感じもしますが・・・。この 期間は2か月間です。

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3.書類を受け付けた日から4ヶ月以内に役所は認証か不認証を決定します。「認証」とは聞き慣れない言葉ですね。これは出された書類を調べて内容が法の基準や手続にあっているかどうかを判断するものです。
不 認証になったらどうしよう、と心配される方もいらっしゃるかもしれませんが心配ありません。書類に間違いや不備がなく、ウソやNPO法に反することがなけ れば、役所は認証しなければならないことになっているからです。したがって、「こいつは気に入らないから不認証にしてやる」という勝手なことはできません。

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4.認証書を受け取ってついに完成!と喜びたいところですが、まだ先があります。NPO法人も法人ですから、会社と同じように登記をしなければなりません。登 記は、人間でいえば戸籍みたいなものです。法人を作ったら法務局という役所に行ってどういう法人を作ったのかをいわば登録するわけです。これは申請書に書 いた事務所の所在地の法務局に申請します。認証書が届いてから2週間以内ということになっています。

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5.法務局に申請して訂正などがなければ無事に成立となり、会社と同じように登記簿の謄本、コンピュータ式を導入している法務局では登記事項証明書をとることができます。法人の正式な成立は登記の申請日になります。

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6.無事に法人ができましたら、こんどは登記が済んだ、ということを書面で認証を申請した役所に報告することになります。これで設立に関しての手続はすべて終了です。


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